工作実動部隊の現場から・・・。
「報告します。愚民○タイ忙殺工作終了・・・。」工作員コードネームバケは、携帯電話の暗号メールで変換する前の言葉をつぶやいた。もちろん、周囲には誰もいない事を確認済みだ。
工作員バケたちが行った事は、以下の通りだ。
ターゲットが訪れる立ち食いソバ屋のアルバイトに、親と嘯き、ターゲットの持病の治療薬だと偽り、飲まない薬を飲ませるように、インシュリンを渡した。もちろん、アルバイトは、操り人形化している人物だ。
善意のつもりで薬を混ぜたアルバイトは、何も知らない。
ターゲットとされた少年が電車の中で倒れたのは、それから十数分後だった。
若さゆえ、フラフラになりながらも子供時代から馴染みのある医者へ行けた、ターゲット少年・・・。
同胞工作員の医者は、指導者からの言いつけ通り、ビタミン剤を打ち、治療を演出した。
インシュリンで混乱している体内にビタミン剤が加わり、ターゲット少年は、膵臓を著しく傷める事となった。
油物を食べると吐く・・・。そこでまた医者へ行く。医者は、吐くから・・・と胃ばかり調べる。
大量のレントゲンを撮り、放射線やバリウム・与えられた胃薬等による負荷で益々症状は悪化した。
当然、少年は訴えた。
「未だ、変だ。・・・」
ここからが、工作員の演技の見せ所である。
「何処も悪く無い。それでも変だと言うのなら、神経科に行ってもらうしか無い。紹介状を書く・・・。」
同胞精神科医が、待っていたターゲットに用意してあった薬を飲ませたのは、その数日後だった。
カルテ上に記した薬とは全く違う、工作活動用の記憶消滅剤を飲まされたターゲットは、病気であった事も忘れ、一時的に症状が回復したような状態となった。
しかし、数日で当然の如く、ぶり返す。そこで、更なる検査を行い、治療だと、電気ショックが行われた。
人格破壊を目的とされた電気ショックにより、ターゲットは、問題行動を起こすようになってしまった。
もはや、ターゲット少年の訴えは、社会性を失い、本当の親でさえ、医者を信じるようになってしまった。
待っていましたとばかり、催眠実験が始まった。
自虐性を刷り込み、自殺を誘うように催眠誘導が繰り返された。
そして、再び、工作員バケに指令が出た。
ターゲット少年の周囲に「不快・不安と無意識が感じる物事をばら撒け・・・」。
悪臭・細かなゴミ・意図的な不快騒音・砕かれた汚物・部屋や使用物への小さな傷・知らず知らずの内に視覚に入る先鋭物・意図的に不味くされた食品・周囲にばら撒く事実無根の中傷情報・・・。
バケにとって、鍵になっていない鍵しか付いていない共稼ぎの家に侵入し、工作活動を行うことなど容易い事だった。
そして、3ヶ月後・・・。
バケは、ターゲットをに声をかけ、「マンションの屋上に幸福への出口がある、特別な君なら、闇夜に飛び込めば、新たな世界へ行ける・・・」と、呪文を授けた・・・。
ターゲットが自殺したのは、数日後だった。
周囲の誰もが、何の疑問も持たなかった。
愚民忙殺の実験は、成功した。
それぞれの状況での数多くのデータも収集出来た。
愚民○対応策として、どの程度の物事を行えば、どの程度の成果が得られるのか・・・?のデータがまた充実したのだ。
・・・・・・・(続く)・・・・・・・。
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